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発行日時
2020/10/17 7:45
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[試乗記]進化した独自HVで存在感 新型SUV日産「キックス」
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 日産自動車が、国内向け登録車としては10年ぶりの新ブランドとなる小型スポーツ用多目的車(SUV)「キックス」を発売した。電気自動車(EV)のような加速性能を武器に、競合車がひしめく小型SUV市場で存在感を放っている。(向山拓)

 日産は2016年以降、エンジンを発電だけに用いてモーターで駆動する「e―POWER(イーパワー)」と呼ばれる独自のハイブリッド車(HV)を展開してきた。エンジンも駆動させる一般的なHVよりEVに近い加速性能が味わえるとして、人気は高まる。小型車「ノート」やミニバン「セレナ」はエンジン駆動も選べたが、3車種目で初めてイーパワーのみとした。

 そのイーパワーの進化が、キックスの目玉だ。モーターの性能は従来と同じだが、アクセル操作や路面環境などのデータを基にモーターだけでなくバッテリー、エンジンの制御に磨きをかけ、最大出力を従来から約20%向上させた。低速時に発電を控えるようにしたことで、走行中の車内は一段と静かになったという。

 試乗前に車を眺めると、外観はキリッとした力強い印象を受ける。V字形のグリルに、つり上がった切れ長のヘッドライトを配置している。車内空間も広く、後席の頭上や膝周りには余裕があった。荷室には普通サイズのスーツケースを四つ積める。

 運転席に座り、アクセルを踏むとスーッと車が走り出し、素早く加速した。EVに乗っているかと錯覚するほどだ。足を離すと、回生ブレーキによって瞬時に減速が始まり、すぐに停車する。

 アクセルの踏み加減だけで走行できる「ワンペダル運転」は、急な減速に最初は戸惑ったものの、30分もたてば慣れてきた。モードの変更で、減速を抑えた走行に切り替えることもできる。

 高速道路では、運転支援技術「プロパイロット」が便利だ。手放しはできないが、設定した速度で前方車両を追従する。時速80キロ前後では安心してハンドル操作を任せられた。

 キックスは、日産にとって業績改善に向けた新型車攻勢の第1弾となるが、SUV市場の中で小型は約4割を占める最激戦区だ。トヨタ自動車の「ヤリスクロス」やホンダの「ヴェゼル」などがライバルとなりそうだ。

 運転支援技術を搭載するHV1種類のみとしたため、競合車に比べて価格帯はやや高めになった。だが、力を入れるイーパワーに絞ったことで、他にない個性が出たとも言える。反転に向けたスタートを切る一台となるか注目したい。

 マーケティング責任者の小木曽宏行氏=写真=にキックスの魅力と狙いを聞いた。

 ――進化した点は。
 「イーパワーの性能が向上し、中間加速がより力強くなった。充電量を重視して頻繁に作動していた発電用のエンジンは、車速を重視するよう制御を変更した。中低速域での作動が減ったため、車内も静かになった。車台もキックスのためにほぼ作り替えた」

 ――安全性能は。
 「独自の運転支援技術『プロパイロット』を初めて標準装備とした。セレナなど他の車種でも装着率は6割以上と人気で、『1回使ったらやめられない』という声も多かったためだ。事故などの緊急時に通報できる『SOSコール』も標準装備としている」

 ――新型車攻勢の第1弾としての勝算は。
 「何とか盛り返していきたいという思いを込めて作ったコピーは『このままで、終われるか。超えてやろうじゃないか。あるはずだった未来を。』とした。キックスを契機に、日産車の存在感を高めていきたい」

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