電気自動車と電池は明日を拓く

切り抜き詳細

発行日時
2020/3/25 1:07
見出し
一時代の終わり~フォルクスワーゲンがゴルフシリーズにさよならを告げる
リンクURL
https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/goodbye-volkswagen-golf/ 一時代の終わり~フォルクスワーゲンがゴルフシリーズにさよならを告げるへの外部リンク
記事詳細

元記事:The End Of An Era — Volkswagen Is Saying Goodbye To The Golf Family by Maarten Vinkhuyzen on 『CleanTechnica

ビートル、ゴルフから「ID」へ

フォルクスワーゲン(以下VW)が、ガソリンやディーゼルモデルよりも安くすむID.3を夏に発売』という記事を読んだ時、価格のパリティ(※訳者注:電気自動車の値段が内燃機関車の値段と同じレベルまで下がる)が思っていたよりも早く来たな、と思いました。しかしその1時間後、「あれ、ちょっと待てよ。より良い商品に、より安い価格……」これはいわゆるオズボーン効果という現象を引き起こします。(※オズボーン効果について詳しく説明したこの記事の日本語訳はこちらです。)

画像はVW公式より。

VWは過去3年に渡ってID.3がゴルフの継承ラインになると言い続けてきましたが、私はその譲渡が徐々に進むものと予測していました。その理由として、バッテリーのコスト、電気自動車の運転に世間が慣れるのに必要な時間、工場の改装、バッテリーの生産量増強、充電インフラの構築、その他状況をコントロールしながら変遷を遂げる必要があるからでした。

VWの歴史において、ID.3はまだ3つ目の主軸モデルになります。VWビートルが60年代半ばまで隆盛を極めましたが、その後セールスが減少し、70年代に入って急落しました。長年にわたりVWは他のモデルを出そうとしましたが、ビートルと同じ役割を果たせるものは現れませんでした。基本的に1つのモデルしか出せていない自動車メーカーだったのです。ビートルが継承者なしに寿命を終えた後、社は国からの救済が必要な状態に陥りました。

70年代初頭、VWはまったく新しい設計を使ったモデルを出しました。空冷リアエンジン、後輪駆動、エンジンを前方に設置した水冷前輪駆動などです。パサート(1973年)、シロッコ(1974年)、ゴルフ(1974年)、ポロ(1975年)と、短期間に立て続けに新モデルをリリースしました。ここで自動車メディアから、VWは次々と新しい車を早く出しすぎる、というクレームが出ました。同じ年のカー・オブ・ザ・イヤーのトロフィーを巡ってVWから3つのモデルが競い合い、票が割れてしまったため、トロフィーはシトロエンCXに渡ってしまったのです。

過去46年間に渡り、パサート、ゴルフ、そしてポロがVWを形作ってきました。そして今その継承者がID.シリーズになろうとしています。70年代初期のように、これは革新的な新しいコンセプトで、市場の変化により強制的にもたらされたものです。50年前、ビートルのテクノロジーは時代遅れなものになりました。今また、パサート、ゴルフ、ポロのテクノロジーは最盛期を過ぎました。今回に限っては、VWは開発からローンチまで政府からの救済策を必要とすることなく、新しい設計を作るのに間に合ったのです。

パサートとポロの後継モデルは今もコンセプトカーの段階で、パサートの方はゴルフ後継モデルであるID.3と同じプラットフォームを使用することになります。ポロ後継モデルは現在セアトにより開発中のA、Bセグメント用プラットフォームを使用するようです。

すべてのゴルフのモデルが一晩で消えるわけではありません。次の表での価格に関する数値比較は、置き換えるに適したモデル同士で行っています。トルクが大きいオートマ車で、高い利益の出るゴルフの中でもトップのモデルです。

前提:
VW ID.3は購入から5年後に資産価値が43%下落で、VWゴルフは33%。
頭金3000ユーロ、ローンの年率4%。
5年に渡り0.30ユーロ/kWhの電気代、1.5ユーロ/lのガソリン代。
13,000km走行。
メンテナンス代;ID.3は800ユーロ、ゴルフは1,800ユーロ
ID.3の電費は15kWh/100km。
保険代は同じとする。

VWのディーラーにとっては、興味深い時が来るでしょう。多くの顧客が新しい車に興味を持ち、購入して、さらに長い航続距離、より速い充電、安い価格を求めることになります。VWを世界で一番大きな自動車メーカーにしたモデルは打撃を受けます。

より安い価格でより良い製品を提供する…… VWはパンドラの箱を開けました。半世紀前に、この会社はたった1つのモデルを3つの大衆向けモデルのグループと交代させました。今度は、その3つのモデルを1つのモデルと取り換えるのです。VWグループは他のID.モデルを通じて早急に複数のモデルをローンチしなければなりません。

VWはカー・オブ・ザ・イヤーのトロフィーを獲得するのには多すぎるモデルを、再び揃えることになるのでしょうか?

(翻訳・文/杉田 明子)


Let's block ads! (Why?)