独BMWのプラグインハイブリッドのコンセプトカー。

- BMW社、プラグインハイブリッドのコンセプトカー「Vision EfficientDynamics」を発表 - グリーン・カー - Tech-On!
ドイツBMW社は、プラグインハイブリッド車のコンセプトカー「Vision EfficientDynamics」を発表した。「M」シリーズ並みの高い動力性能と、小型車レベルの燃費・CO2排出量の両立を目指した2+2シーターのスポーツカーだ。「ActiveHybrid X6」と「ActiveHybrid 7」に搭載するハイブリッドシステム「ActiveHybrid」の技術的な可能性を示すデモカーという。
パワートレーンは、二つのモータ、ディーゼルターボエンジン、Liポリマ2次電池、減速機、DCT(Dual Clutch Transmission)で構成する。前車軸上に同期モータと減速機、後車軸の前には排気量1.5Lの可変ノズルターボ付きコモンレール式3気筒ディーゼルエンジンと6速DCT、およびその間にあるモータを備える。センタートンネルの前側に家庭用電源から充電できるLiポリマ2次電池、後ろ側にディーゼル燃料タンクがある。
エンジンの最高出力は120kW(163PS)、最大トルクは290N・m。リアモータは、定格出力が25kW、最高出力が38kW、最大トルクが290N・m。フロントモータは定格出力が60kW、最大トルクが220N・mで、さらに出力は30秒間だけなら84kWに、10秒間だけなら 104kWに上げられる。システム全体の最高出力は262kW(356PS)、最大トルクは800N・mとなる。モータのみ、エンジンのみ、モータ+エンジンのいずれでも駆動できる。
Liポリマ2次電池は、30AhのLiポリマセルを98個、直列につないだ。セルは電圧3.7Vで600Aを出力でき、30秒間は1200Aまで上げられる。電池の公称電圧は364V。電池容量は10.8kWhだが、その80%を放電させることができ、使える容量は8.6kWhとなる。電池の質量は85kg。220V・16Aの家庭用電源では2時間半で充電が完了する。さらに380V・32Aの急速充電器では44分で充電できるという。
2次電池からの電力だけで50kmまでモータ走行できる。燃料タンクの容量は25Lで、エンジン+モータ駆動での航続距離は650km。モータ走行と合わせて全体の航続距離は700kmとなる。
現行のEU規定で燃費を測定すると26.6km/L、CO2排出量は99g/kmとなる。これは、パワーバランスが一貫しており、エンジン+モータ駆動で、ブレーキ回生などにより充電しながら走行し、走行開始から終了まで電力残量が一定となる状態で計測したもの。モータ走行した場合は、走行開始時と終了時の電力残量を計測する。この方法で測定した消費電力は100km当たり17.5kWhで、 CO2排出量は50g/kmとなる。現在、プラグインハイブリッド車や電気自動車向けに、モータ走行時のCO2排出量を測るための新しい基準を準備しており、新基準では99g/kmの3分の1程度になる見込み。
車両寸法は、全長4600×全幅1900×全高1240mm。シャシーとサスペンションをアルミニウム合金製とし、ルーフとドアの外面にポリカーボネート樹脂を採用するなど、軽量化しつつ、重心を低くした。車両質量は1395kg。最大積載量は445kgで、荷室容量は150L。荷室は後席の背もたれを倒すことで拡大する。
外観デザインは、F1で培った空気抵抗を低減する技術により、Cd値を0.22とした。フロントグリルには、空気抵抗を改善するため、空気冷却が必要ない場合に自動で閉じるフラップを採用した。車体下部は気流の渦を発生させないように全面を覆った。センターピラーがない構造で、後席へも乗り降りしやすい大型のサイドドアは、ドアミラー部のヒンジで、ガルウィング式のように上方に開く。21インチホイールに195/55サイズのタイヤを履く。
軽量化や空気抵抗の低減のほか、燃費を低減するため、排ガスの熱を利用して発電する「Thermo-Electrical Generator(TEG)」を採用した。金属ベースの熱電変換素子を用いて、温度差を電圧に変換する。「5シリーズ」に搭載して試験した結果、最大で 200Wの電力を発電できたという。