電気自動車と電池は明日を拓く

以前記載していた内容。

ウェブサイトには、会社概要として「大型リチウムイオン電池の量産と価格低下を目指す、電池ならびに周辺機器・システムの開発・製造」とあるが、実態は不明。設立は2006年9月28日。

現役員は出資企業から派遣されているようだ。

  • 役員一覧|会社概要|エリーパワー株式会社│ELIIYPower Co.,Ltd.
    代表取締役 社長吉田博一住友銀行(現三井住友銀行)副頭取、三井住友銀リース社長・会長を歴任、慶應義塾大学大学院教授(2008年3月まで)
    取締役 常務執行役員八木隆住友銀行支店長、(株)レナウン経営統括本部長、(株)巴コーポレーション取締役専務執行役員、日本アジアホールディングズ取締役を経て現在
    取締役 執行役員河上清源国立環境研究所等の研究機関、慶應義塾大学大学院助手、同講師(現任:08年4月より非常勤)を経て現在電気自動車(KAZ、Eliica他)の開発・製作に一貫して従事
    取締役水谷實日本電池(株)研究開発本部副本部長、慶應義塾大学SFC研究所所員を経て現在。日本電池において各種電池リチウムイオン電池の研究開発に従事
    取締役(社外)木下賀夫エネサーブ(株)代表取締役社長(現在)
    取締役(社外)濱隆大和ハウス工業(株)取締役常務執行役員(現在)
    取締役(社外)戸井田孝大日本印刷(株)常務取締役(現在)
    取締役(社外)水嶋繁光シャープ(株)常務執行役員 研究開発本部長(現在)
    監査役山地正矩日本電池(株)常務取締役研究開発センター長 (株)ジーエスユアサコーポレーション専務執行役員を経て現在
    監査役(社外)森正勝アクセンチュア(株)社長、アクセンチュア(グローバル)ボードメンバー、グローバル経営委員会メンバー、アクセンチュア(株)会長を経て最高顧問(現在)
    常務執行役員真田秀夫富山化学工業にて技術部長、生産管理部長、経営企画部長、常務取締役経営統括部門長、取締役専務執行役を経て現在
    常務執行役員冨岡昭二読売新聞大阪本社にて、秘書部長、経済部長、社長室総務、執行役員総務局長を歴任、取締役広告局長を経て現在
    執行役員郷内敏夫三菱電機にて国際宇宙ステーションの電源系開発プロジェクトマネージャーを歴任、宇宙用リチウムイオンバッテリプロジェクト部長を経て現在

経済産業省エリーパワー(株)から提出された「資源制約対応製品生産設備導入計画」を認定 anchor.png

川崎市川崎区水江町に新規に設置する工場建設に対して、補助金を受けるようです。

神奈川県からも助成を受けるようです。工場は2010年春までに、完成、稼動開始だそうです。

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電力貯蔵リチウムイオン電池セルの標準化 anchor.png

慶應義塾大学が中心となって文部科学省の補助金を得て実施した事業です。いろいろと問題があったようです。

具体的な評価結果を探しても載ってないですね。不思議です。

ここにありました。確かにD評価です。

  • 科学技術振興調整費データベース
  • 評価結果:(事後評価)電力貯蔵用リチウムイオン電池セルの標準化

    代表機関:慶應義塾大学(代表者:吉田 博一)
    参画機関:エネサーブ株式会社(現大和ハウス工業株式会社)、大和ハウス工業株式会社、株式会社竹中工務店、KDDI株式会社、新電元工業株式会社


    課題の概要
    従来、用途に応じて個別に開発されていた電力貯蔵用大型リチウムイオン電池は少量多品種生産となっているため、価格の低減が難しく、大量普及が困難である。そこで、大量普及のため、大型リチウムイオン電池の単位となるセル仕様の標準化を行うことにより、広い用途に共通して使える電池が実現すれば、大きな需要が発生する。その結果、電力貯蔵用途へのリチウムイオン電池の普及が実現し、省エネルギーと、災害時のエネルギーセキュリティの有効な対策が可能となる。本研究では、セルの仕様を標準化するために、本研究代表者のもとに複数の利用分野のニーズ側企業とシーズ側企業が結集して、ニーズとシーズの調査とこれに基づくセルの試作とこれを組み合わせた電池システムの試作とその評価を行い、双方が満足する仕様を策定することを目指した。


    (1)総合評価(総じて所期の計画以下の取組である)
    大型リチウムイオン電池の主要ユーザーの一つである自動車メーカーやシーズ側企業である電池メーカーが参画しておらず、本研究により策定されたセルの標準仕様がそれらのメーカーや業界から評価を得ているとは言い難い。また、調査に基づく大型リチウムイオン電池の標準仕様の策定やその仕様を満たす電池の試作および評価は行われたが、本課題の目標である「標準化」にむけた成果はほとんど得られていないと判断された。マスコミなどを通じたアウトリーチ活動は行われているが、検証可能な形での成果発信(論文、学会発表など)が全く行われておらず、実施者内のみに成果がとどまっている。セル標準仕様など、本研究の成果の知的財産権取得に向けた取組みが全く行われていない。これらの点から国際標準化を狙う本研究の成果の優位性も不明である。


    以上のことから、総じて所期の計画以下の取組であると判断された。
    <総合評価:D>


    (2)個別評価
    ①目標達成度
    調査に基づく標準仕様の策定や、その仕様を満たす電池の試作および性能評価が行われたが、通常の企業活動として行われる市場調査の結果を集約したニーズ側の要求仕様となっており、電池の性能や特性等を勘案した標準仕様となっていない。このため、広い用途に共通して利用できる電池の標準仕様としての妥当性が検証されていない。結果的に、本研究で目指したニーズ側とシーズ側の満足する大型リチウムイオン電池の標準仕様設定には至っていない。さらに、本研究で目指したリチウムイオン電池の標準化のためには、採択コメントにも示された通り、シーズ側企業である電池メーカー、電池材料メーカーなどの参画が必須であり、ニーズ側企業についても自動車メーカーなどより多くの企業の参画を得て、初期の段階から標準化に向けた取組みへの賛同者を増やして行く必要があった。本研究の本来の目的である標準化に向けてのさらなる努力が求められる。


    以上のことから、初期の目標を大幅に下回っていると判断される。


    ②情報発信
    マスコミや政府機関への働きかけに努めた点は評価できるが、広い用途を意識した情報発信は不足している。また、ピアレビューを経た学術誌、講演会、学会など、研究成果としての情報発信が全くなされていない。このため、研究成果が実施者内にとどまっており、広い分野への普及が期待できない。さらに、本研究の成果として得られた電池の標準仕様に関する特許や実用新案、著作権など知的財産取得への取り組みが全くなされていない。研究成果の発表、知的財産権取得への取組みはリチウムイオン電池の標準化を目指す本研究の趣旨を鑑みると必須の活動と考えられる。今後、研究成果の公表、知的財産取得の取組みが求められる。


    以上のことから、情報発信は不十分であったと判断される。


    ③研究計画・実施体制
    採択コメントにあった電池メーカー、自動車メーカーの参加が得られておらず、また、研究運営委員会にも参加していないため、本研究で目的とする研究内容に必要となるプロジェクトの実施体制が構築できておらず、研究計画に沿ったアクションが取れなかったと考えられる。従って、提案時に示された研究目的、研究計画を実行するために必要となる研究体制を構築する必要があったと判断される。


    以上のことから、研究計画・実施体制は不適切であったと判断された。


    ④実施期間終了後における取り組みの継続性・発展性
    電池の標準化を目指す場合、本来複数のニーズ側企業ならびにシーズ側企業が参画し、標準仕様を策定し、標準仕様を広く普及させ、標準規格として国際的に認証されるような活動が継続的に進めることが求められる。本研究の成果は現段階では多くのニーズ側企業ならびにシーズ側企業の賛同を得たとは言えず、今後の継続的な標準化活動やより多くのニーズ側企業への展開が期待できない。また、標準化を進めるうえで、コアとなる部分の特許を持たずに業界で中心的な役割を果たせるとは考えにくい。先行特許の精査とライセンスを視野に入れての展開が必要である。研究参画者らにより電池製造企業を新たに設立したことは、継続性・発展性を確保したように思われるが、当該電池製造企業における活動はデファクトスタンダードを目指す一般的な企業活動であると考えられ、本研究で策定された標準化仕様の普及活動として継続的に取り組まれているとは判断できない。


    以上のことから、実施期間終了後における取り組みの継続性・発展性の確保は全く期待できないと判断される。

実施側の提出した成果報告はこちらです。計画通り実施したということにしたかったらしいです。

  • 成果報告:重要課題解決型研究 事後評価「電力貯蔵用リチウムイオン電池セルの標準化」

    Ⅲ.研究成果
    1.研究成果の概要
    慶應義塾大学では、ユーザ企業を対象に各用途での電力貯蔵電池に対する性能要求を調査し、あらゆる用途で共通に利用が可能な電力貯蔵リチウムイオン電池セルの標準仕様(品質要求仕様)を導いた。電力貯蔵リチウムイオン電池の技術的な基礎はニューサンシャイン計画にて築かれたが、本要
    求仕様(ユーザの要求)を満たし、かつ、ミッションステートメントに掲げた電池性能を満たすためには、新たな正極材料の開発の取り組みが必要となった。本研究では、高容量・高安全な三元系リチウム酸化物に着目し、マンガン酸リチウムの混合系正極(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2:LiMn2O4=7:3)を開発し、ユーザによる品質要求仕様、及びミッションステートメントを達成できることを評価試験により確認した。この結果をもとに、品質要求を満足する標準セルの製造仕様を策定した。


    大和ハウス工業では、住宅分野にリチウムイオン電池を用いる観点から、顧客にアンケート調査を実施し、オール電化住宅向けの非常用電源を兼ねた住宅用負荷平準システムの仕様を策定し、フィールドにて実用性を評価した。システムの構築に際しては、6kWh の蓄電池を一つの最小構成単体とした完備電池を構成し、それを複数組合せすることにより、戸建て住宅だけでなく、マンションやあらゆる家族構成にも対応できる工夫を図った。フィールド評価の結果、深夜電力を蓄電し昼間利用することにより、経済的利点が得られることが確認され、住宅分野における標準セルの有効性が確かめられた。


    エネサーブでは、電力供給分野にリチウムイオン電池を用いる観点から、産業用の高圧受電の契約帯として最小限の50kVA システムを仕様として策定し、活用方法として、電力負荷平準、電力ピークカット、カレンダー運転、自立運転などの運転モードが提案された。また、従来、無停電電源装置(UPS)が財政的な重荷となっていたことを受け、リチウムイオン電池の繰り返し充放電ができる特性を生かし、UPS を兼ねたハードウェア仕様が提案された。また、組電池の構成方法として、複数のセルを直列に接続した組電
    池同士を並列に接続する「直列-並列」接続方式が提案された。フィールド評価の結果、各運転モードにおいて良好な試験特性が得られ、電力供給分野における標準セルの有効性が確かめられた。


    竹中工務店では、建築分野にリチウムイオン電池を用いる観点から、エネサーブと共同で大型電力貯蔵システムの仕様を考案し、主に電力ピークカット、自立運転機能をフィールドで確認した。自立運転機能の評価は、ビルなどの防災用電源での利用を想定した試験で、排煙ファンや消火ポンプ、ヒータなど突入電流の大きな設備の起動試験等を実施した。フィールド評価の結果、システムの安定した動作を確認することができ、将来、リチウムイオン電池が防災用蓄電池に認可された際は、防災用電源にも標準セルが活用できることが明らかとなった。


    KDDI では、通信キャリア分野にリチウムイオン電池を用いる観点から、携帯電話の無線基地局用非常用電源に標準セルを組み、フィールド評価を実施した。携帯電話の無線基地局は他の電力貯蔵システムとは異なり、電池から電源を介さずに直接無線機に接続される。公共サービス事業でもあるため、非常用電源設備においては、特に信頼性が重視される。通常は、2,000Ah の鉛蓄電池が用いられているが、50Ah の標準セルで代替するため、35 並列接続が必要となった。ここでも、上述の通り、7 セル直列に接続した組電池を35 並列接続する「直列-並列」接続にて対応した。フィールド評価の結果、各組電池から均等に電流が流れていることが確認され、これにより、2,000Ah 級の鉛蓄電池が用いられていた大規模な電源システムにも本標準セルが適用できることが明らかとなった。


    新電元工業では、エネサーブ及び大和ハウス工業の仕様のもと、大型電力貯蔵システムと住宅用電力貯蔵システムの2 機種を開発した。どちらのシステムも、系統連系制御及び双方向インバータの技術が必要とされ、更には、太陽光発電システムとは異なり、系統に逆潮流(電池の電力を系統へ戻すこと)ができないため、各相の負荷に不平衡が生じた際の制御技術などを新たに開発した。また、リチウムイオン電池特有の充放電管理技術が必要となり、電池管理装置と電源装置の通信による制御技術を確立した。いず
    れの機械も住宅分野、電力供給分野及び建築分野において、設計仕様通りの動作が確認された。


    これらの結果から、少量多品種による高価格化の弊害を除去することが可能となり、標準セルの大量生産による低価格化を可能とするもので、本研究のもたらした成果は大きい。


    (1)研究目標と目標に対する結果
    ①目標:リチウムイオン電池特性の現状と将来を見通し、分野の異なる各用途での電力貯蔵電池に対する性能要求を調査し、あらゆる用途に共通に適用が可能なセルの標準仕様(品質要求仕様)を策定する。


    結果:ニーズ調査の結果、あらゆる用途に共通で利用するための電池性能として、放電性能は連続150A(-20~60℃)、充電性能は30 分で80%以上の充電率、寿命性能は20℃の温度条件の下、3500サイクル後もしくは10 年後に初期容量の70%以上を保持、安全性は50%過充電(全充電量150%)
    状態、釘刺しによる内部短絡状態において破裂、発火しない、を仕様として策定した。各用途に必要な蓄電池総容量の最大公約数からセル容量を導き、50Ah とした。形状、寸法の策定に当たっては、電力貯蔵リチウムイオン電池の大きな市場として期待できる電気自動車での適用を考慮し、自動
    車関連及び航空宇宙関連の標準規格の開発を行っているSAE(Society of Automotive Engineers)が電気自動車電池規格として推奨するSAE-J-1797、EV-1 を参考に、116H×175W×194L(mm)をモジュールの外形寸法とし、1 モジュールあたり4 つのセルで構成することにし、セルの最大寸法を
    113H×171W×44L(mm)とした。


    一方で、電力貯蔵リチウムイオン電池の潜在的な需要や汎用性という観点からは、資源の埋蔵量、安全性、更にはニーズに見合うコストが要求された。従来から、小型セルに用いられているコバルト酸リチウムは資源の埋蔵量、安全性、コストのいずれも電力貯蔵用途には不的確で、他方、安全性、資源の埋蔵量に優れるマンガン酸リチウムでは電池性能を満たせず、正極活物質の開発が最大の課題となった。本研究では、正極活物質として、エネルギー密度と熱安定性に優れた三元系リチウム酸化物に着目し、マンガン酸リチウムと重量比7:3 の混合系活物質として用いることで、性能と安全性の両立が図れることを見極めた。また、量産性や信頼性の観点から、極板群構造は長円巻回式を、セルケースは、ステンレス製もしくはアルミニウム製の金属ケースが適しているとの結論至った。


    ②目標:セルの標準仕様(品質要求仕様)にもとづく試作とセル及び電力貯蔵システムによる評価を実施することにより、電力貯蔵リチウムイオン電池セルの標準化を図れる見通しを得る。


    結果:セルの評価ポイントとしては、三元系リチウム酸化物の安全性と性能を両立させる点であった。その観点から、まず、三元系リチウム酸化物とマンガン酸リチウムの比較検証を行い、三元系リチウム酸化物単独によるセル構成は困難であることを明らかとした。それをもとに、三元系リチウム酸化物に熱安定性及び寿命特性に優れたマンガン酸リチウムを混合させる手法を考案し、最適な重量比を見極めるための試作を実施し、結果として7:3 の重量比が最適であるとの結論を導いた。一方で、極板群構成はスタック式よりも長円巻回式の方が生産性に優れることを明らかし、セルケースに関しては、ポリプロピレン樹脂より金属製が安全性、信頼性に優れることを明らかとした。その結果、高エネルギー密度と高出力密度を兼ね、かつ、寿命特性に優れたセルの基本構成を見出した。


    一方で、標準仕様で策定した50Ah セルは産業用途としては比較的容量の小さなセルであるため、電力貯蔵システムに適用するための最大の懸念事項はセルの並列接続による大容量化であった。セルの並列接続方式としては、セル単独を並列に接続した上で、並列接続されたセル同士を直列接続する「並列-直列」接続方式と、セルを直列に接続した組電池を構成し、組電池同士を並列に接続する「直列-並列」接続があり、検討の結果、後者を採用した。フィールドでの評価の結果、35 並
    列接続された電力貯蔵システムにおいても組電池間が均等に充放電されていることが確認され、標準仕様で策定した50Ah セルにて大規模な電力貯蔵システムの構築が出来る見通しが得られた。


    これらの評価結果から、セルケースにステンレス、極板群構造に長円巻回式、正極活物質に三元系リチウム酸化物とマンガン酸リチウムの重量比7:3 の混合系活物質を用いたセルが、電気的性能、耐環境性、安全性試験を通じて、標準セルに求められる品質要求、及び本課題のミッションステートメントに掲げた電池性能の目標を満足することが確認され、電力貯蔵システムのフィールド評価においても良好な成果が得られた。よって、本課題で策定したセルの標準仕様(品質要求仕様)は、電力貯蔵リチウムイオン電池の標準セル仕様に適用できるとの結論至った。


    (2)ミッションステートメントに対する達成度
    ニーズ、シーズの調査結果から、セル容量を50Ah とし、セル寸法をSAE-J-1797、EV-1 を参考に113H×171W×44L(mm)と定め、セルの構成材料に三元系リチウム酸化物とマンガン酸リチウムの重量比7:3の混合系正極活物質、長円巻回式極板群構造、ステンレス製セルケースを用いることによって、ニーズ、シーズの双方が満足する電力貯蔵リチウムイオン電池セルの標準仕様を策定することができた。


    この組合せにより、重量エネルギー密度、重量出力密度、寿命は目標を達成することを確認し、信頼性(故障率)については本課題で試作した標準セルに類似する性能及び構造を持つ小型セルの過去の事故による回収率から試算した結果、10ppb を達成できる見通しを得た。また、量産性に関しては、自動ラインの構築により年産1 千万セルの生産が可能であるとの試算を得た。コストに関しては、目標20 円/Wh としたが、残念ながら目標到達に至らなかった。その原因としては、工場原価に占める材料費の割合が8 割もあり、材料メーカーを対象に量産時の供給コストを調査したものの、取引関係にない大学での調査であったため、材料費の見積精度が得られなかったのが原因であると推定する。


    表: ミッションステートメントに対する具体的目標値と結果

    具体的目標目標結果
    重量エネルギー密度120Wh/kg121.9Wh/kg
    重量出力密度1,000kW/kg1,000kW/kg@20℃、SOC40%以上
    カレンダー寿命3,000 回3,500 回時の容量保持率76.03%
    信頼性10ppb(1×10-12 個/時間)4.6×10-11 個/時間
    1 千万セル生産時のコスト20 円/Wh27.35 円/Wh


    (3)当初計画どおりに進捗しなかった理由
    (記載なし)


    (4)研究目標の妥当性について
    電力貯蔵リチウムイオン電池の技術的な基礎はニューサンシャイン計画にて築かれたが、当時は電気自動車等の移動体用と電力貯蔵用の定置用に分け、性能要求も異なりセルの共通化という認識はなかった。一方で、本研究代表者等は、電力貯蔵リチウムイオン電池の普及促進のためには低価格化が重要であり、そのためにはセルの標準化が不可欠であると考え、本課題を提案した。


    リチウムイオン電池が持つ充放電特性、寿命性能を考慮すると、机上では、移動体と定置用は簡単に共通化できそうな感がするのは否めないが、移動体が重視する重量エネルギー密度及び重量出力密度と定置用が重視する安全性は相反する関係にあり、従来用いられてきたコバルト酸リチウムやマンガン酸リチウム正極活物質では両方の要求仕様を満たすセルを実現するのは困難である。また、セル容量を共通化することによって、大型電力貯蔵システムでは組電池構成手法が問題となるため、単にセル単体での評価だけでは、本課題が目的とするあらゆる用途に利用できる標準セルを開発することは困難であり、本課題で掲げた目標は妥当であったと判断する。


    (5)情報発信 (アウトリーチ活動等)について
    本課題採択直後から、展示会、講演、プレゼンテーション、プレス発表、web 等での情報発信を積極的に行い、研究活動の意義や研究活動がもたらす想定される成果を広く知らしめることが出来た。その結果、地方公共団体や都道府県の首長、政府関係者など、研究活動の意義を十分に理解していただける方が増えたことは明らかである。


    例えば、神奈川県においては知事を中心として、電力貯蔵リチウムイオン電池の標準化がもたらす普及とその成果である環境問題の抜本的解決についての具体的な方策を練る場として、大型リチウムイオン電池を利用した自動車の普及を目指す協議会を立ち上げるなど、研究活動が広く理解されたことが伺える。また、本課題を提案するきっかけでもあり、本研究代表者等が中心となって開発した電気自動車の啓蒙活動を兼ねて閣僚らに電力貯蔵リチウムイオン電池の重要性を伝えたことは、話題としてマスコミによって間接的にテレビや新聞という媒体によって一般の視聴者に伝えられたため、一般の方々からの問い合わせが増える等、実感としてアウトリーチ活動の成果が見られた。


    国際性という面においても、電気自動車国際学会・電気自動車国際シンポジウムの開催に合わせる形で、プレスリリースを発表し、日経新聞や神奈川新聞に取り上げられることにより、標準規格についての提言をおこなった。また同シンポジウムにおいては、住宅用の電力貯蔵用蓄電システムを一般公開し、一般来場者への説明をおこなった。


    外国からの問い合わせにも積極的に対応した。ノルウェー王国の運輸通信大臣ほか10 名ほどの訪問団へのプレゼンテーションを通し、電力貯蔵用チウムイオン電池に関する活動の紹介を行った。その結果、ノルウェー王国の国会議員の訪問団約20 名が再度来日し、同プレゼンテーションについて耳を傾けた。ノルウェー王国は産油国であるが、国会議員団の帰国後、今後自然エネルギーを利用したCO2 を排出しない社会を目指すと政府が発表するなど、本研究がきっかけとなった可能性は否定できない。


    また、米国のエネルギーエコノミストで、「石油の世紀」でピューリッツァー賞を受賞したダニエル・ヤーギン氏が本研究代表者を訪問した際には、「標準化の考えは全くその通りで、エネルギーの解決策の本命だ」というコメントを頂戴している。


    (6)研究計画・実施体制について
    本研究代表者らは本提案に至る1 年前より、電力貯蔵リチウムイオン電池の普及に向けた取り組みを開始しており、複数の利用分野と電池及び電池システム製造側の企業10 社からなる共同研究体を組織し、基礎調査を行ってきた。


    本研究採択後は、これらの企業の中、5 社が本研究のコアメンバーとして参画したため、その基礎調査を継続させる形で、本共同研究体を母体に本研究を実施した。平均的に週2 回程度、実務者レベルでのワーキンググループを開催し、研究の進め方や進捗状況を確認しながら研究を実施した。本研究が完了するまでに、合計100 回のワーキンググループを開催した。


    また、2 ヶ月に1 回のペースで各社の役員クラスの会合を開催し、会社単位でプロジェクトの進め方及び進捗を管理しながら、研究を進めた。そのうち年に1 回を研究運営委員会とした。更に、年1 回、各社の会長もしくは社長による研究運営委員会を開催し、研究方針、進め方、進捗等を確認しながら研究を実施した。


    本研究では、各サブテーマが密接に関係しており、ワーキンググループを開催したことで、各社の進捗や現状の課題等を共有しながら研究を進めることができ、非常に効果的な成果が得られたと考える。また、ワーキンググループによって、研究代表者と各参画機関の縦のつながりでなく、横のつながりも生むことができ、参画企業間同士のコミュニケーションも活発であった。更に、会社のトップの方々に認識していただいことも研究が円滑に進められた要因である。また、コミュニケーションツールとして、慶應義塾大学が
    運営元となり、本研究のメーリングリストを活用した。これにより、フィールド評価でのデータや不具合などを共有化することでき、活発な意見交換が行われた。


    なお、本研究開始後も共同研究体に新たに利用分野側の企業5 社が加わり、本研究と連携しながら、電力貯蔵リチウムイオン電池の普及に関する取り組みを行った。


    一方で、採択時に指摘された電池製造会社をコアメンバーに迎える件に関しては、国内の大手電池メーカー(付録-3 参照)の代表や役員クラスなどの経営陣との面談に努め、積極的に支援をお願いしたが、電力貯蔵リチウムイオン電池の事業に関して興味を持たれないか、もしくは他と共同研究することに消極的であり、実現に至らなかった。このため、本研究の試作セルは、慶應義塾大学にてセル製造仕様書を策定した上で、ジーエス・ユアサコーポレーションにて組立作業を依頼することで解決した。


    電池製造会社が、このような状況であったため、本研究成果が将来的に活用されないことが懸念されたため、研究代表者らが中心となり、平成18 年9 月に大型リチウムイオン電池の試作、製造会社「エリーパワー株式会社」を設立し、平成20 年4 月現在、大日本印刷、大和ハウス工業グループ、大
    手家電メーカーの3 社の支援を受け、社員約40 名の体制にて電力貯蔵リチウムイオン電池の大量生産を目指し、活動を続けている。


    本研究では、研究の成果(論文)発表及び特許出願の実績はないが、成果に関してはセルの製造仕様書としてノウハウの形で取りまとめを行い、特許に関しては、本セルの製造に関して、特許調査を実施した。リチウムイオン電池に関する特許は、材料及びセル構造の特許などが、1 万件以上出願されており、既存の特許に触れずに実用化するのは困難な状況である。特許の回避が困難である項目に関しては、今後、エリーパワー社での実用化検討の過程において、ライセンス取得の交渉や設計による回避対策などの検討を進める。

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国際帝石、エリーパワーに資本参加/リチウムイオン電池量産加速へ anchor.png

  • 国際帝石、エリーパワーに資本参加/リチウムイオン電池量産加速へ : ローカルニュース : ニュース : カナロコ -- 神奈川新聞

    住宅や電気自動車向け大型リチウムイオン電池の量産化を目指すエリーパワー(東京都千代田区)に、日本最大の油田開発会社である国際石油開発帝石(東京都港区)が資本参加することが二十七日分かった。出資額は二十億円。エリーパワーは四月末に国際帝石を含め七十億円の増資を完了する予定で、資本金は一気に五倍近い約九十億円に増強される。資本増強により、リチウムイオン電池の量産とともに株式の早期上場を目指す。


    国際帝石は石油・天然ガス開発が主力で、新エネルギー産業への本格進出は初めて。エリーパワーの第三位の大株主となることで、太陽光発電など自然エネルギーを含めた総合エネルギー企業として事業展開を図る。非常勤役員の派遣も検討する。


    エリーパワーには新たに国際帝石のほか、LPガス販売のミツウロコ(東京都中央区)や、ベンチャーキャピタル(VC)最大手のジャフコ(東京都千代田区)、横浜銀行系の横浜キャピタル(横浜市西区)なども資本参加する予定。既存株主も大和ハウスグループが二十五億円、シャープは十億円を増資する。


    エリーパワーは川崎市川崎区水江町の臨海部に年間二十万セル(個)を生産する工場建設を計画しており、増資分は工場の建設資金約四十億円に充当する。一〇年春までに完成、稼働させる予定。その後の第二期工事では百万セルの生産を計画している。


    VCの投資を受けるのも初めて。エリーパワーは「リチウムイオン電池の量産を目指す環境関連ベンチャー企業としての将来性が高く評価された」としており、早期に株式を上場させる考えだ。


    エリーパワー 慶応大学発ベンチャー。吉田博一社長ら慶応大研究室メンバーが出資し、2006年9月に資本金1500万円で設立。大和ハウス工業、大日本印刷などの資本参加で資本増強を重ねてきた。4月末の増資で出資比率は大和ハウスグループ34%、シャープ22%、国際帝石15%、大日本印刷 14%、ミツウロコ7%、横浜キャピタルなどその他8%となる。


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