経済産業省の審議会のひとつ。割賦販売法、特定商取引に関する法律、家庭用品品質表示法及び消費生活用製品安全法の規定によりその権限に属せられた事項を処理する。
リチウム二次電池
- 産業構造審議会消費経済部会製品安全小委員会、消費経済審議会製品安全部会合同会議 配付資料-配付資料(METI/経済産業省)
- 資料13 リチウムイオン蓄電池の規制対象化について(PDF形式:36KB)
製品安全課の資料。2.規制対象(施行令)について
(1)規制対象とするべき蓄電池及びその範囲について
・ 近年、蓄電池の事故が急増している背景には、技術開発の進展により、蓄電池の体積エネルギー密度が年々高まっていることがある。高エネルギー密度の電池ほど、万が一不具合が発生した場合に被害が拡大する可能性が高い。特に、リチウムイオン蓄電池は、高い体積エネルギー密度を実現しており、他方そのために高温状態で不安定化しやすい電極材料や電解液に可燃性の有機溶媒を使用せざるをえない状況となっている。実際、過去の重大製品事故(火災に至った事故)は、単電池あたりの体積エネルギー密度が400ワット時毎リットル以上のリチウムイオン蓄電池において発生している。他方、リチウムイオン蓄電池以外の蓄電池においては、液漏れによる軽傷の火傷や発熱等の軽微な事故がほとんどである。
・ したがって、今回政令で定める蓄電池としては、①リチウムイオン蓄電池であって、②万が一不具合が発生した場合に被害が拡大する可能性が高い程度に体積エネルギー密度が高い(400ワット時毎リットル以上)ものを規制対象とする。
(注1)「リチウムイオン蓄電池」とは、単数又は複数のリチウム二次電池からなる、すぐに使用できる状態の単位電池(組電池)を指す。
(注2)「単電池」とは、電極、セパレータ、電解液、容器、端子などからなる蓄電池(二次電池)の基本構成ユニットである。
(注3) 上記体積エネルギー密度のリチウムイオン蓄電池を使っている機器としては、現段階では、ノートパソコン、携帯電話、ビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯ゲーム機、DVDプレーヤー等の携帯用電子機器の他、電動車いす、医療機器、携帯計測器、電動アシスト自転車、電動シェーバー、ラジコン、ロボット等が想定される。
(注4) 工場等で使用される産業用機械器具や、病院、診療所で使われる医療用機械器具は、その使用に熟達した者が使用することから、危険性の適切な管理が期待できるものであるため、これらの製品用のリチウムイオン蓄電池は規制対象外とすることとしたい。なお、これらの製品は、さらに別の観点から、労働安全衛生法や薬事法等による規制に服するものであり、必要に応じてこれらの法律による規制が行われることとなるものと考えられる。
(注5) 自動車用のリチウムイオン蓄電池については、道路運送車両法による規制に服するものであって、既に蓄電池の保安基準が課されていることから、本施行令の規制対象外とする。
(2)規制の運用・実施について
・ 電気用品安全法における「電気用品」に指定されることで、リチウムイオン蓄電池の製造・輸入の際に、国の定める技術基準に適合しなければならないという基準適合義務が製造・輸入事業者に、その販売の際に基準適合義務を満たしていることを表すPSE マークを付さなければ販売できないという販売制限が販売事業者に課される。
・ 本施行令施行前に製造・輸入されたリチウムイオン蓄電池については、規制対象外とする予定。
・ リチウム蓄電池そのものを規制するものであるため、リチウムイオン蓄電池が機器本体に装着された状態で輸入・販売される場合の機器の輸入・販売行為を規制するものではないが、リチウムイオン蓄電池が機器本体と同梱された状態で輸入或いは販売される場合には、当該電池と機器本体はそれぞれ個別の製品として輸入或いは販売されると解されるため、この場合には規制の対象となる。
(注) 一般には、流通段階では、単体での販売はデジタルカメラ等の予備電池としての販売に限られ、当該電池が使用される機器本体に装着又は同梱の状態で販売されることが多い。
3.施行規則について
リチウムイオン蓄電池に関する要求事項として、現行の施行規則を以下のとおり改正する。
・ 新たに電気用品の区分に蓄電池を設け(別表第一)、型式の区分として単電池の形状、単電池の電解質の種類、単電池の上限充電電圧、組電池の重量、電池ブロックの段数(組電池内において、並列接続された一個又は複数個の単電池の集まり)、過充電制御方式、用途を規定し、型式の区分に従い届出を要求(別表第二)。
・ 届出事業者が行う自主検査については、外観及び出力電圧測定を要求(別表第三)。
・ 電気用品の表示の方法については、表面の見やすい箇所に容易に消えない方法で表示することを要求(別表第五)。
4.技術基準について
リチウムイオン蓄電池に関する要求事項として、現行の技術基準(電気用品の技術上の基準を定める省令)を以下のとおり改正する。
(1)構成
・ JIS C8712「密閉型小形二次電池の安全性」のうち、リチウムイオン蓄電池に係る事項をベースとして、これにJIS C8714「携帯電子機器用リチウムイオン蓄電池の単電池及び組電池の安全性試験」を上書きして技術基準を作成。
・ JIS C8714 の機器落下試験については、携帯電子機器に限定することなく、幅広い機器に適用できるように基準化。具体的には、携帯機器(手持ち型機器、ダイレクトプラグイン機器、可搬形機器)であって重量7kg 以下のものについては落下高さ1m、卓上機器(携帯する可能性があるものは除く。)であって重量5kg以下のものについては落下高さ0.75m としている。
・ 電池の化学反応に影響する試験については、一定期間経過後、JIS C8714 の試験条件に過酷化。
等
(2)概要
略。
(3)経過措置
①試験条件の過酷化
・ 現在、パソコンや携帯電話などの携帯電子機器(電気を情報伝達の媒体として用いる機器で手軽に持ち運びができるもの)は、JIS C 8712(「密閉型小型二次電池の安全性」)の一部の試験について試験条件を過酷化したJIS C 8714(「携帯電子機器用リチウムイオン蓄電池の単電池及び組電池の安全性試験」)で試験を実施しているが、これ以外の機器については、JIS C 8712 に基づき試験を実施しているのが現状である。
・ 当該改正は、近年の技術革新により体積エネルギーが高密度化したリチウムイオン電池による、火災事故が発生していることを踏まえ、試験条件を過酷化した携帯電子機器の規格にすべて統一することとしたが、しかしながら、携帯電子機器以外の大半の機器においては、JIS C 8712 を引用しており、施行時にJIS C 8714に対応した機器に移行することが困難。そのため、JIS C 8714 に対応した電池の技術開発期間として、移行期間(3年)を設けることとした。
②過充電保護機能及び機器落下試験
・ 過充電の保護機能及び機器落下時の組電池の安全については、当該基準に対応した機器の開発期間として、移行期間(3年)を設けることとした。
5.今後のスケジュール(予定)
平成20年3月末頃 公布
平成20年11月20日 施行
※施行前に製造・輸入されたものは販売規制の対象とならない。
電動車いす
- 消費経済審議会製品安全部会-開催通知(METI/経済産業省)
- 電動車いすに安全基準 事故多発で規制強化
経済産業省は高齢者の事故が相次いでいる電動車いすについて、国の安全基準を策定してメーカーに順守を義務付ける方針を固め、26日の消費経済審議会に諮問した。審議会の答申を受けて政省令を改正し、来年中をめどに施行する。
電動車いすを消費生活用製品安全法に基づく「特定製品」に指定し、国の安全基準を満たさなければ販売できないようにする。新たに策定した基準には、メーカーごとにばらばらなハンドル、アクセルの操作方法を統一したり、坂道走行や一定の段差のある場所でも転倒しない設計にしたりすることを盛り込んだ。
経産省によると、電動車いすの利用者が製品の不具合が原因で負傷した事故は、昨年7月から14件発生。このうち、下り坂を走行中に転倒するなどして死亡した事故が7件あった。